上顎の奥歯は歯周病のために抜歯となるので、インプラント治療を行うのですが、数ヶ月?1年ぐらいの間、仮歯の支えとしては有効なので、再生治療の期間中はその歯を使用し、骨が再生しインプラントによって、歯を支えられるようになった時点で奥歯を抜歯する治療計画をたてました。
残念ながら、右の奥歯は治癒期間中に脱落してきましたので、そこからはミニインプラント(テンポラリーインプラン)により仮歯を支えました。
奥歯は左右ともに3本ずつの欠損になってしまうのですが、下顎とのかみ合わせと上顎の顎骨の大きさから、一番奥にはインプラントをしないで、2本ずつインプラントを入れることにしました。
その際には、サイナスリフトを行い骨の高さを増やし、さらにGBRで骨の幅も増やした後に、インプラントを埋入しています。
【左】初診時の上の歯です。右側には2本歯がない部分があります。この部位には、いつもは部分入れ歯を使っています。奥歯は大きく動揺してます。左には1本歯が欠損していて、ブリッジが装着されていますが、こちらも大きく動揺しています。
【右】レントゲンで確認すると、左右側の奥歯は、両側とも歯周病で歯の周囲の骨がかなり吸収していますので、最終的には抜歯となります。奥歯の欠損部にインプラント治療を行うには、骨の高さが足りませんので、サイナスリフトで骨の高さを増やすことが必要になります。また、内科的な理由で一度のオペの時間は極力短くした方が良い患者様です。
【左】口腔内を横から見たところです。右側ですが、欠損部の歯肉は大きく凹んでいます。
【右】左側ですが、ブリッジの奥の方は食べ物が挟まっています。また、歯周病のために、歯茎が下がって歯根が露出しています。
【左】左側から、インプラント治療の説明をします。あらかじめ、奥歯を1本抜歯しています。この2本の歯を支えにして、治療期間中仮歯を装着しています。
【右】まず、サイナスリフトを行い、骨の高さの増加を計ります。上顎洞側壁の骨に2センチ程の穴を形成し、その内側の粘膜を剥離します。それにより出来たスペースを骨充填材で満たし、コラーゲン膜で閉鎖をします。
【左】次に、骨の幅を増やすために、GBR(骨誘導再生術)を行います。骨の幅を確認すると2〜3ミリ程ですのでインプラント治療には、4〜5ミリ程不足しています。
【右】そこで、骨の増やしたい部分に小さい穴を多数あけて出血させます。これを行わないと骨再生はありません。そこへ、顆粒状の骨充填材を置き、それをコラーゲン膜で覆います。コラーゲン膜が動かないようにピンで骨に固定します、
しっかりとコラーゲン膜が固定されていることが骨再生術には大切な要素になります。
【左】右側ですが、まず、左側と同様にサイナスリフトを行い、骨量が十分確保されてからインプラントを入れていきます。
【右】右の上顎骨の側壁(ちょうど奥歯があったところの上のあたり)に、穴をあけて上顎洞内の粘膜を鼻腔の横まで剥離します。骨から剥がして出来た3〜4cc程の空間を骨充填材で満たします。
【左】次に、インプラントが入れるための骨の幅を増やす手術をします。ここでも、GBR(骨誘導再生術)を選択します。
【右】顎骨の状態は、写真の右側がインプラント治療には細いので、少なくても5ミリ程の骨造成が必要です。
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GBRを行い縫合しました。 |
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術後のレントゲンです。上の歯が欠損している部分の骨が増えています。白く見える部分が新しい骨です。左右ともに骨の高さが10〜15ミリ増えています。 |
【左】CTレントゲンにおいてもサイナスリフトによる骨造成前と後を比較します。4つのレントゲンの左上が右側の上顎洞を示しています。術前には、上顎洞内は黒く見えています(骨がない部分は黒く見えます)。骨の高さは3ミリ程です。左の下は通常のレントゲンと同じものです。赤い点線の部分がインプラント埋入の予定されているところです。
【右】術後のCTを見ると、左上のレントゲン像では、右側の上顎洞内に白く見える骨部分が増えているのが分かります。左側の上顎洞は、右に比べると骨の増えている量は少ないのですが、周囲の骨との差の境界がわからないほどに骨充填材と新生骨の置換がすすんでいるようです。このように、骨の造成量を確認し、インプラント埋入に移行します。
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骨が増えたことを確認できたので、インプラントの埋入を行います。写真の左側の奥の歯は動揺が進み抜歯に至ったために、仮歯を支えるためにミニインプラントが入っています。 |
【左】まず、左側です。GBRにより、術前より骨幅が大きく改善しています。
【右】再生骨の中にインプラントを2本埋入しました。
同時に、右側のインプラント埋入を行います。写真の骨の右側には再生骨が確認できます。
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最後にしっかりと縫合します。 |
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