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奥歯（上顎）の症例

奥歯（上顎）に歯が1本ない場合のインプラント症例写真

初診時：プラークも多く、歯周病の為に、上の奥歯が右は２本、左は３本ありません。

患者様のご希望は、上をインプラントで咬めるようにすることです。下の歯に関しても、長期的な予後のために、徹底的な歯周病治療を考えましたが、今回は、ブラッシング指導、歯石除去、月に２回のクリーニングで対応しました。

　

レントゲンから確認した歯周病の進行度合いから、長期的でなければ、右に１本、左に２本の歯をなんとか保存出来ると判断し、前歯にはその３本を使ったブリッジ、奥歯はサイナスリフトを併用してのインプラント治療という計画を立てました。

CTレントゲンから、右の上顎洞には何かの１センチくらいのものが存在し、それが原因で粘膜に炎症を起こしていることと、左の上顎洞にもおそらく慢性的な炎症が存在していることが分かりました。右のサイナスリフトを行うには、この炎症を治療する必要がありますが、左のような炎症に関しては問題にならない場合が多いです。

右の上顎洞の異物除去を行うために、奥歯の後ろに切開を入れ、歯肉を剥離し、上顎洞内を見られるようにしました。

取り出した異物です。かなり以前、他院にて根管治療を行ったときに、上顎洞内に入ってしまったものと思われます。

炎症が起きていた粘膜の一部を切除したものです。粘性の強い粘液が付着していました。この後、上顎洞内をよく洗浄しました。

３ヶ月後、サイナスリフトを行います。

上顎洞の骨の側壁に２センチくらいの楕円形の穴をあけ、粘膜を骨の内側から剥離します。

３ヶ月前の粘膜の穴は修復されていて、呼吸とともに、剥離した上顎洞粘膜が上下に動きます。左の写真が、粘膜が下がった時で、右が上がった時です。
この中を骨充填材で充たします。数ヶ月後、それが骨に置換されます。

左のサイナスリフトです。一度、３ヶ月前に試みましたが、その時は粘液が出てきたので、上顎洞内の洗浄のみを行っています。その時の、骨の側壁にあけた穴は、ほとんどが新生骨で覆われています。

そこで、ピエゾサージェリーという器具で、骨を除去し楕円形の穴をあけていきます。この器具は、超音波メスの一種で、固い組織には反応し切削を行いますが、軟らかい組織には反応しませんので、粘膜や血管を傷つけることがなく、骨のみを切ることができます。

骨のみを除去し、上顎洞粘膜を露出させました。少しずつ、骨の内側から剥がしていきます。

さらに、奥の方まで上顎洞粘膜を剥がします。

上顎洞内に３〜５ccの大きなスペースが出来ました。そこに、骨充填材を入れて数ヶ月経過すると、骨に置換していきます。

CTで確認すると、上顎洞内にインプラント治療には十分な骨が造成していることがわかります。

右上の奥に２本のインプラントを埋入します。

３ヶ月後、アバットメントをセットしました。

その上にセラミッククラウンが装着されています。

左上の奥も、右と同様にインプラント治療を行います。

インプラントを２本埋入します。

その後、咬合力の負担が可能になった時点でアバットメントをセットします。
その上に、セラミッククラウンを装着します。